第7章 恋歌エチュード
「大丈夫ですか?ユウさん」
「は、はい…すみません」
「今日はもう上がってください。アイさんも、またお願いします。」
『…はーい。』
と、結局アイとユウはそのままモストロ・ラウンジを出て行った。
「ウナギちゃん!」
ラウンジを出て行く前にフロイドがアイを呼んだ。
アイはゆっくり振り返ると、目の前にいたフロイドにいきなりキスをされた。
当然他にも客がいるわけで・・・
店内は騒然とした。
『ちょ…お前!!』
「なんとなくキスしたくなったからした」
と、またこいつは気分屋なことを言いやがった。
でもアイは恥ずかしさのあまりユウを連れてすぐに出て行った。
アズールもフロイドも何事もなかったかのように作業に戻るが、ジェイドだけは大きなため息をついた。
***
「フロイドのせいで食器は割れ、アズールのせいで大事なお客様は失い…あなた方、恋は盲目とは言いますが営業に差し障ることは控えていただきたい。」
「なっ!?恋って…フロイドはともかく僕は違いますよ!第一さっきのだってあの客が…」
「えぇ~?アズール小エビちゃんが好きなんじゃないの?」
「す…そんなわけないじゃないですか!!どうして僕の邪魔をした人を…」
と、アズールは弁明するが彼の顔はフロイド曰く茹でだこのように真っ赤だった。それ以上は何も言えなくなってしまったアズールにフロイドは笑い、ジェイドはまたため息をついた。