第6章 恋歌プレリュード
『はい?』
「前言ったじゃん人間の交尾、オレ最近覚えたからさぁ。ウナギちゃんと交尾してそしたらウナギちゃんオレの事好きになるでしょ?ね?ウナギちゃん、交尾しよ?」
突然の爆弾発言に、あたしはさっきとは違う顔の熱さを感じた。
そしてフロイドはそのまま腰の辺りに手を伸ばしてきたからあたしは思わず彼に平手をかましてしまった。
「痛って!!何ウナギちゃん、普通叩く?」
『叩くわ!!いきなり交尾とか何考えてんの!?やっぱお前馬鹿か!?普通そう言うのは、デートするとか付き合うとかいろいろ順序があった上での…』
「へぇ~、人間ってめんどくさいね。んじゃ今度ウナギちゃん、デートしよ?」
『もぉ…あんたってなんでそんなに極端なわけ?』
もうさすがにここまでくると呆れてしまって何も言えなくなった。ため息をついてから改めてフロイドを見る。
気分屋で掴み所のない性格で良くも悪くも素直だと周りは言っていたが・・・
もしかして・・・これはあたしの力云々じゃなくて、ただの気まぐれなのでは?とふと思った瞬間、何かが吹っ切れた。向こうが気まぐれなら、こっちも気まぐれに付き合った方がいいのかもしれないと
『…全く、そんなにあたしの事好きならさぁ…本気にさせてみてよ。本当にあたしの声だけのせいじゃないってそしたらあんたとの交尾、考えてあげなくもないよ』
と、フロイドを見てニヤリと笑って見せる。
少し驚いた様子のフロイドだったがすぐにいつもの笑顔になった。新しいおもちゃを見つけたような無邪気なあの顔だ。
「あは、ウナギちゃんサイコ~じゃん。ゼッテー交尾したいって言わせるし」
フロイドはあたしの周りをひと泳ぎしてまたあたしの顔に触れた。それはもう愛おしいと手からも伝わってくるほどの優しさで
あたしの声・・・
どんな力があるのかをちゃんと知れば、きっと自分の気持ちにも正直になれるとそう思った。それまではまだ様子を見ることにした。