第6章 恋歌プレリュード
自分でも、あまりに素直に言葉が出てきてしまって口元を抑えてしまった。そして、自分の頬が熱くなった。
「…うなぎちゃん」
『あ…あと!』
フロイドが声をかけてきたが、あたしはなぜかそれを遮ってさらに言葉をつづけてしまった。
『あんた…あたしの声取られたとき…かばってくれたって…ユウが…』
「ああ、たとえアズールでもウナギちゃんに手ぇかけたのが許せなくて…」
『あの…その、あり…がと。…ありがとね!』
と、手で口元を抑えていたのを外してできる限りを笑顔を見せた。なんでこいつに・・・って思ったが、それでも・・・見せないといけない気がして・・・でも、フロイドは黙ったままだった
『ちょっと…何か言っ…⁉』
さすがに恥ずかしさが勝ってきてあたしはいつものトーンでフロイドに話しかけた。すると目の前をフワフワと泡が舞ったと思ったら身体に冷たいものが巻き付いてきた。
それがフロイドだということはすぐに気が付いた・・・
『ちょ…フロイド?』
「…好き。オレ…やっぱオレ、ウナギちゃんが好き」
今まで聞いたことのないくらい、優しく穏やかなフロイドの声と彼の言った言葉にあたしはかなり驚いてしまった。
でも、なぜかあたしの感情は複雑だった
好きという言葉に多少の喜びは感じた。でも、昨日アズールが言ったあたしの声の秘密の事も頭をよぎった。
あたしの声は、聞いた人を魅了し操る力があると・・・
自分にはそんなこと全く気が付かなかったが、それが本当なら・・・きっとこいつも