第6章 恋歌プレリュード
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『はわぁ~!!』
前は外観しか見れなかったアトランティカ記念博物館
それはあの人魚の映画さながらの空間で、海の王の石像があのテーマパークのとあるエリアを彷彿とさせるもので1人でただ単純にテンションが上がっていた。
エースやデュース、ジャック達も一緒のようで展示物を見ながら歓喜していた。今回はアズールが博物館を貸し切ったようで他に誰もいなかった。
あたしは、無心で博物館内をウロウロしてしまいいつの間にか他のメンツとは離れてしまった。
『あれ?ユウ?』
あたしはユウを探していると、入り口付近の記念の写真が飾ってあるところでアズールと話していた。
それが、どうもいい雰囲気に見えてしまいあたしは邪魔はしまいと別のフロアへと向かった。
『うわぁ…これは映え!』
違うフロアに行くと、そこはあの人魚姫が陸の世界のものを集めていたあの場所のようだった。上を見ると光が差し込んでいてそれに照らされて展示品が美しく輝く・・・
――――♪
――――――♫
この場所は、もうあの人魚姫の歌を歌わずに入られなかった。
貸し切りだと言っていたのでもう何の遠慮もなく大きな声で・・・取り返した歌声をフル活用して、もう自分が気持ちいい状態で歌を歌う
『…ふぅ』
一息ついて満足すると、パチパチと音がした。
それはフロイドがフロアの入り口付近で手を叩いていた音だった。
「やっぱウナギちゃんの歌すっげぇ。人魚姫かと思った」
『…そりゃどーも』
今のフロイドの姿は本来の姿のままであたしはその姿にまだ慣れずにフイ、と別のところを見てしまった。でも水の音がしたと思ったらフロイドがあたしの頭上を優雅に泳ぎながらあたしの正面に降りてきた。
「ウナギちゃん、まだオレのこと気持ち悪い?」
『えっ…と』
長い体のまま、なんとも子供みたいな顔であたしのことを見てきたため・・・
『いや…むしろ、全然…ってか、正直…綺麗とまで思った。あの時はあんたを怒らせて気を引こうとしただけで…ホントは、気持ち悪いとは思ってない…。あの、変なこと言って…ごめん』