第6章 恋歌プレリュード
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『ん…んん?』
朝、久しぶりにゆっくりと自分のベッドで寝られていることに喜びを感じながらあたしは目を覚ました。すると、すでにユウが起きていた。
『おはよう、ユウ。』
「うん、おはよう…」
『今日だよね、アズール達とアトランティカ記念…どうしたの?』
「えっ…うん、実は…変な夢を…」
と、ユウが何かを放そうとしてた時寮のドアを叩く音がした。しかも今にもドアが壊れそうな勢いの音が・・・
「ウナギちゃん小エビちゃん、アザラシちゃんおはよー。迎えに来たよ、おでかけしよー」
案の定あの兄弟だった。
まだ身支度できてないってのに・・・
「ウナギちゃ~ん準備できた~??」
『まだだ…って!着替え中に入ってくるな!!』
フロイドに至ってはあたしの部屋に入ってくる始末だ。
こいつ・・・この前あたしの腕1本持ってこうとしたくせに!!
と、イライラしながら服を着ているとフロイドがあたしの正面に立った。
「…腕、痛い?」
『痛い!取れそうだったんだからね!』
「…ごめん」
『は…?』
こいつが素直に謝るなんて・・・と驚いて彼を見ると、まぎれもなくシュンとしていて反省しているように見えてしまった。
その上、未だに包帯まみれの左腕にそっと触れてきた。
「オレ…あんときすっげえムカついて…無意識に噛んで…」
『あ…あぁ、もういいって…あたしだって…』
あまりに素直に謝ってくるものだから、あたしも「気持ち悪い」と言ったことを謝らないと・・・と、言葉をかけようとしたとき・・・
「アイちゃん、そろそろ行ける?」
と、ユウが部屋を除いてきた。
焦ったあたしは、フロイドから瞬時に離れてユウのもとへと向かった。