第5章 深海スターブ
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「アイちゃん大丈夫ッスか?何かあったらオレが守ってやりますからね」
『別にいい。さっさと済ませよう』
「…おい」
『…何よ』
「終わったら、また俺の部屋に来い。ストレスたまって仕方ねえんだ」
『あ~ら、あんたでもそんな冗談言うんだ。悪いけど、終わったらオンボロ寮に戻るから。』
ユウ達と別れて、あたしとレオナとラギーそして大勢のサバナ寮の生徒達と共にやってきたのはオクタ寮のモストロ・ラウンジだった。
レオナが指示を出すと、サバナ寮の生徒達が一斉にモストロ・ラウンジに押し入っていく。あたしはレオナと共に裏から寮内へ侵入した。
レオナとやってきたのは、あのVIPルームだった。
例の金庫には、いつの間にか傷がついていたがレオナはそれを気にせず室内をキョロキョロしていた。しばらく待っているとラギーが入ってきた。
「はい、金庫の鍵っスよ。んじゃ、アイちゃん運び出すっスよ」
『はいよ』
ラギーが金庫を開けると、大量の契約書がそこにはあった。
1つ手に取ってみたが、ユウ達が言うように全身に電流が流れているようには感じない何の変哲もない紙でできている契約書のようだった。これを外までラギーと持っていく。
「ふぅ…アズール君ったら、どんだけため込んでたんスかね」
『コレクションにしても多すぎでしょうに…』
と、ラギーと話をしていると遅れてレオナが外に出てきた。
するとすぐにレオナは契約書の中から1枚を手にし呪文を唱え始めた。
「俺こそが飢え、俺こそが乾き。お前から明日を奪うもの―――」
「待ちなさい!!」
レオナのユニーク魔法を唱えている途中でいつもは冷静なアズールが慌てて外に出てきた。