第5章 深海スターブ
慌てているアズールにレオナが冷たく話していく。
ユウが気が付いた契約書の秘密・・・実は契約書は何の力もないから金庫で厳重に保管されている。
レオナもアズールのはったりで触ったのを見計らって電気の術をかけただけだとしたら・・・と仮説を立てたうえでのこの作戦だった。
だから、鍵を奪って中の契約書を外に持ち出してレオナのユニーク魔法をかけてみればいいと・・・
「ユウさんが…?なぜだ、なぜあいつは僕の邪魔ばかりしてくる。イソギンチャクから解放されてもあいつには何の得もないはずだ…!!」
「俺もそれについては同意見だ。」
『あぁ~、あの子はただ単に優しいアホの子なんだよ。アンタ達にこき使われているエース達やそれ以外のみんながかわいそう…その程度の気持ちしかないんだよ。損得とかあの子が考えるわけないじゃん。』
「そこでだ…なぁアズール、俺と契約しないか?」
レオナが契約をアズールに契約書を見せながらそんなことを言いだした。アズールは、いつもならありえない何でもする!と言っていた。でも、レオナは
「その程度じゃこの契約書は返してやれねえなァ…」
と言った。
実は、レオナはユウとグリムの策により脅されていたのだ。契約書の破棄に協力してくれないのなら毎日朝までグリムと一緒に部屋の前で大騒ぎしてやると・・・それはレオナにとっては死活問題らしくオンボロ寮奪還によって自分の平穏を守ろうとしているのだ。
「う…嘘だ、やめろ…!」
「さぁ、平伏しろ…《王者の咆哮(キングス・ロアー)》!!」
「やめろぉぉぉぉおおおおおお!!!!」
レオナの呪文1つで、すべての契約書が砂と変わってしまった。それを見たアズールは膝から崩れてしまった。