第5章 深海スターブ
「まずは、うなぎちゃんからギューってしちゃおう」
さっきの狩りを楽しんでいた様子とは打って変わって完全に獲物を狩る目つきに変わったと思ったらあたしは思わずユウを突き飛ばす。
「あれ~うなぎちゃんったら小エビちゃんかばって優しぃ~」
茶化すような顔をしているが、あたしは至って真面目だった
彼の何メートルかも分からない魚の尾びれが身体にまとわりついて来そうになった。
『…気持ち悪』
「・・・ッ!!!」
纏わりつくということは顔も近くになるということで・・・彼の耳元でつぶやいた。それももう蔑むように・・・おかげでフロイドがものすごく怒っているのはすぐに分かった。
「てめぇ…いい加減うっぜえ!!!」
と、フロイドは尾びれで締め付けようとしてくるのをやめて今度はあたしの両肩を掴んでまたあたしが怪我をしている左肩を噛みついた。しかも、さっき噛まれたときの・・・むしろラギーに噛まれた時以上の激痛が走った。
「アイちゃん!!」
「姐さん!!」
「くそが!!」
肩を噛まれたあたしを見てすぐさまジャックが海の中とは言え彼の運動神経が功を奏しフロイドはあたしから離れた。彼が離れた瞬間、あたしの肩から大量の血がふわりと宙を舞った。
「姐さん!大丈夫か…?」
『うっ…ん、ごめん…ここまでブチギレられるとは思わなくて…』
あえて相手を怒らせて注意がこっちに向いている間にみんなでジェイドをやれればと思ったがそれすら間違いだったようだ。