第5章 深海スターブ
気が付くと、そこは一面の水というか完全に海の中だった。
周りもみんな驚いていたが、あたしは1人でテンションが上がっていた。それはもう海に選ばれたプリンセスのごとく・・・
「アイちゃん行くよ~」
『はぁ~い』
とすっかり機嫌がよくなっていたあたしは、みんなについて例の博物館にたどり着いた。そこもまた例の人魚姫が暮らしていたあの王国に似ていて、柄にもなくときめいていた。
辺りには、人魚がたくさんいてむしろこちらの方が珍しいモノを見るような目で見られていた。
『これは歌いたくなるわ~』
「あ~~~♡きたきた、小エビちゃんたち~」
と、あたしの気持ちを完全にブチ壊す声が聞こえてきた。
全員その声に覚えがあったため振り返ると、そこにはあの双子がいたけどその姿は普段のものとはかなり異なっていた。
「俺達、人魚だもん」
フロイドがヘラっと笑ってフワフワと辺りを泳いでいる。
本人はウツボの人魚・・・とか言ってるけど
・・・不覚にも、いや!!あたしは言わないぞ!!
「そんなことよりお前ら何しに来たんだゾ!?」
「あはは、そんなの、お前らの邪魔しに来たに決まってんじゃん」
やっぱそう来るか・・・とあたしも身構えているが魔法は当然使えないからユウを背にして守っているだけになってしまっている。
でも、エーデュースやジャックではあの双子には魔法を当てることもできていなかった。それがフロイドのユニーク魔法だと自分で話していたが・・・フワフワと海の中を泳ぎながらフロイドがエーデュース達を弄んでいると思っていた矢先、突然あたし達の方へ方向転換してすごいスピードで突進してきた。