第4章 狂恋ラビリンス
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『はっ!!』
気が付くと、あたしはもとのレオナの部屋に戻っていた。
服も普通のTシャツを着ているし、隣ではユウとグリムがまだ気持ちよさそうに口を開けて寝ていた。外は少しだけ明らんでいたけど、完全には太陽が昇っていない状態だった。
あたしは、少し早いけど身支度を始めた。
持ってきていた制服を着て髪をいつも通りにポニーテールに・・・ありゃ
『ヘアゴム…うわ、ポーチにもない』
メイク用のポーチにはいつもなら替えのヘアゴムを入れていたが運が悪いことに何ももってきていなかった。あるのはオンボロ寮の自室・・・鍵は持ってるし朝も早いから・・・
『…行くか』
あたしは、肩甲骨まである銀色の髪を下した状態のまま一度オンボロ寮に戻ることにした。帰る道中で歌う歌は、命を宿した木の人形が悪い狐に騙されて劇場へと向かうときの歌。
『…~♪』
オンボロ寮が見えてきたくらいのところであたしはあるものに気が付いた。寮の近くにある木の下に誰かいる・・・って!?こいつ何してんの!?
『ちょ…ちょっと?生きてる?』
そいつはなぜか木の下・・・それもこの寒空の下だというのに普通に寝ていた。あたしと似たような銀髪のなんとも綺麗な男だった。
『おーい』
「…ん?なんだお前…」
『いやお前がなんだよ!!なんでこんなとこで寝てんだよ!』
「ぇ…?あぁまた寝ていたのか。マレウス様のもとへ戻らなくては…」
『えっ…大丈夫なの?鼻赤いよ?あぁちょっと!!』
寝起き状態でゆっくりと起き上がった男だったが、フラフラとしていてなんとも心配になる感じだった。今だって寒い中にいた男の鼻を気にしていたら、男は急にフラリと倒れそうになったのだ。