第3章 誘惑ボイス
「白ウナギちゃん、その声…誰にも聞かせちゃだめだからね」
『はぁ…なんでよ。あたしは歌が…』
「白ウナギちゃんの声さぁ…。まぁいいや」
抱きかかえられているあたしは、フロイドの言葉が理解できなかった。なんであんたにそんなこと言われないといけないのさ!!と怒鳴ってみたが、フロイドは無視してもう歌うなの一点張りだった。
「…あ、それより白ウナギちゃん」
『はぁ?』
「人間の交尾ってどうやんの?」
『ふぁ!?』
校舎裏から戻っていく道中で、何の前触れもなくフロイドはあたしにそんな質問をしてきた。
「さっきのあいつのユニーク魔法、攪乱とかの他に多分媚薬ぽいのが混ざってたみたいだからさ、ホントは交尾して治すのが一番楽だったんだけどさ~。オレやり方知らないし~。今度教えて」
『なっ…んなことあたしが知るわけないでしょ!!』
「あれ~?人間の女はみんな知ってるって…ウミウマくんが言ってたよ」
ウミウマって誰!?ってかテキトーなこと言ってんじゃねえよ!!
と思いつつ、何より怖いのはこいつがそれを真顔で人間の交尾について学ぼうとしていることだ。
「とりあえず、今度ウミウマくんのとこで人間の交尾についてのビデオ買うから覚えたら実践させてね」
『絶対ヤダ!!ってか降ろせーー!!!!』
と、我に返ると校内をお姫様抱っこで歩いていることに気が付いてより暴れた。・・・が、結局オンボロ寮まで送られてしまった。