第3章 誘惑ボイス
「あぁ~白ウナギちゃんの声がしたと思ったら…何してんのテメエ。」
「ぐっ…ヒっ!!ふ、フロイド・リーチ…」
身体が動かないあたしは、唯一動く目で男が飛んでいった方を見た。そこにいるのはあのフロイド・リーチ。飛んでいった男はフロイドの姿を見て急に震えだしていた。
フロイドの顔は見えないけど・・・すごい怯えた声で謝っている男を、すげえ長い脚で蹴りまくっているのが見える。しかも聞いたことのない音まで聞こえてくる始末だ・・・
一通り終わったら、フロイドがあたしのそばに寄ってきた。
「白ウナギちゃん?」と声をかけてあたしの身体に触れてきた。多分フロイド的にはちょっと触っただけだろうが、そのちょっとであたしの身体は異常なほどに跳ねた。それに、さっき男に触られたときみたいな変な声が出た。
フロイドは、何も言わずにあたしの身体を起こした。
息が上がってフロイドが触れている肩や腕が異常に熱く感じる。
「…白ウナギちゃん?」
『ハァ、ハァ…ぅ…』
フロイドは自分の着ていた制服をあたしを覆うようにかけてきた。すると、制服で覆ったままフロイドがあたしにキスをしてきた。
『ん、んう…ぁ‥‥』
前の、あのケモ耳の奴とは全然違う
初めてこんな風に・・・なんというか、舌が口の中に入ってくるようなキスをされている。
「…ん~、これユニーク魔法のせいだね。こいつ…」
『ふぁ…フロ、イ…ドぉ…』
「…⁉しろ…ウナギちゃ…」
口が離れて、あたしの頬に触りながらフロイドは蹴り続けていた男をまたにらんだ。立ち上がって男の方に行こうとしたとき、あたしはフロイドを呼び止めてしまった。
その声を聴いた瞬間、フロイドは異常なほど驚いていた。
それどころか、さっきまで怖かった目が急に熱を帯びたように光り始めた。頬も赤くなっていくのが分かった。