第2章 幻影シンガー
「姐さん、もっかい歌ってくんない?」
『はぁ?』
「あぁ!先輩の歌もう一回聞きたいっす!!」
エースとデュースが目をキラキラさせて聞きたいと言ってきたが、あたしはあぁいう場以外では心を許した相手以外の前では歌いたくない主義だ。
ユウの友人ではあるから信用できなくはないけども・・・
『…そのうちね』
「えぇ~そのうちかよ、姐さ~ん」
「ここにいたのかエース。」
「あぁ?げぇ!?寮長!!」
エースの背後から聞こえてきたのは、ハーツラビュル寮の寮長のリドル・ローズハートだった。彼は一応あたしのクラスメイトだ。
「やぁアイ」
『お疲れリドル』
彼とは、少し前にハーツラビュルの事件以来、同じクラスということもあってかなり親しくなった。
リドルはあたしと隣にいたユウには笑顔を見せたけど、エースについてはものすごい剣幕で睨んだ。
「キミ、今朝のハリネズミの当番エサの配分が間違っていたぞ」
「えぇーマジっすか!?」
「一体何度言えばわかるんだ!今すぐ寮の談話室へ来い!!」
「ひぇ~!!」
と、真っ赤な顔をしてお怒りのリドルはエースを怒鳴りつけて連れて行った。デュースは用があるからと先に大食堂を出て行った。