第2章 幻影シンガー
「さっき聞こえたよ!アイちゃんの歌だよね?」
『あー…一年の教室にまで聞こえてたの?』
今はランチタイム
校内にある大食堂でユウとその友達とランチをしていた。
ユウとは同じ寮で過ごすようになり、ユウが普段は諸事情で男装をしているが本当は女の子だと言うことを聞いた。女子生徒はあたし達2人しかいないため、歳の差はあるが分け隔てなく話すような仲になっている。
「姐さんの歌すっげえ綺麗だったぜ!バルガス先生が初恋相手を思い出した~とか何とか言ってたくらいだからな。」
「あぁ、聞き惚れたよ。」
彼女の友達のエースとデュースにもあたしの歌を称賛された。
まぁ称賛されるのは慣れているからいいけど・・・
『でもそのせいでいろんな人から声かけられるようになって大迷惑なんだよね。』
「そりゃだって姐さん見た目は美人だしあの歌声じゃあな。普通の男ならほっとかねえだろ」
『それが大きなお世話でめんどくさいって言ってんのよ…』
エースからそんなことを言われているけど全く嬉しくはなかった。惚れられたって所詮はあたしの声だけだろうから。
よそのテーブルを見てもこちらをチラチラとみている。
ホント気持ち悪い。