第1章 歌姫
周囲の人々に呼びかける。
『難聴をお持ちの方も、できるだけ近くへ!!』
わらわらと集まっていく人々。
周りを見渡し、人々の1人1人をしっかり見る。
『…対象、半径10m以内の人々。』
──カチッ
小さく呟き、まるでピントを合わせるように目を見開く。
そのまま目を瞑り、大きく息を吸う。
『lu〜〜♪la〜la〜〜♪〜』
彼女の口からこぼれるキレイな歌声に人々は息を呑み、耳を澄ませる。
「キレイな声…。」
「っ、なんだ!?体が、光って…。」
彼女の歌声を聴いた者たちの体がキラキラと光っていく。
「っ、傷が消えていく…。」
「痛くない…。」
自分たちの怪我をしていたはずの体を見て驚く人々。
「っ、でました!!彼女は今日デビューしたばかりのNEWヒーロー!!」
女性アナウンサーがマイクを手に叫ぶ。
「Healingヒーロー ディーヴァです!!」