第6章 裏切り
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「そうか…すいれんが…。して、アンナが消えたとはいったいどういうことじゃ」
俺は放心状態になりながらも、なんとか里へ帰還し三代目のところへ報告にきていた。
三代目は俺の姿を見るなり、言葉には出さなかったが驚いていた。俺はきっと、とてもひどい顔をしていたんだろう。
「俺にもわかりません…体がどんどん透けて、最終的には消えてしまったという感じでした。
彼女が死亡したかどうかも…確認できていません…」
「うむ…これは…アンナはもとの世界に戻っている可能性もあるということじゃろうか…」
「‥‥」
元の世界…
一緒にいることが当たり前になり、もともと住む世界が違っていたことも今となれば現実味をおびた。
でも、彼女はここに来てくれた、俺の元に。
「かかしよ…お前がアンナを大切にしていたことはわしもようわかっておる…だがこちらとしてもまだ調べがつかんのだ。とりあえず今は体と心を休めろ。すいれんの処分はおって連絡する。ごくろうであった」
「…はい…」
力なく歩き家に着く。
玄関をあけるも、いつも駆け寄ってくる愛しい人はいない。
本当はやっぱりどこかいるんじゃないかなんて期待もあって…でも現実は真っ暗な部屋に誰の気配もない。
俺はまた守れなかった…
また一人だ…
再び闇にとらわれる感覚をおぼえた。