第1章 彼と私
「わかった。
明日、里の長である火影様にも一緒に伝えにいこう。
ま、なんとかなるよ。
とりあえず、今日はここにいたらいいし、お風呂でもはいる?気分転換にでも」
そういって、かかしさんはお風呂と着替えを準備してくれた。
もちろん、かかしさんの服を借りることになるのだが。
でも、頼れる人ができたことがうれしかった。
「かかしさん、あの、ほんとにありがとうございます」
「いいから。気にしないで。それに、アンナって俺より年上にみえるけど、かかしでいいから。ほら、いっといで」
お風呂であったまりながら、少し冷静になれた。
かかし、年下なのか…あまりに冷静に対処してくれるため、大人っぽかったな。
ほんとにありがたい。
かかしのいる場所にもどると、さっきよりもさらに気が抜けたのか、ぐぅ~…と盛大にお腹の虫が鳴り響いた。
「お腹すいたの?」
「あ、いえ、その…すきました…ごめんなさい…」
「なんでもいいなら作ってあげるよ。
簡単なものになるけど」
どうしよう、また迷惑かけちゃう…と思いつつもお腹のむしはおさまらない。
黙っていると
「いいよ、気にしないで。いらないって言っても、アンナのお腹はいるって言ってるでしょ」
仕事帰りで、こんなことになってしまったから当然ご飯もまだだった。
恥ずかしながら大きく頷いた。
「じゃ、座ってまってて」
そういってかかしは手際よく料理をふるまってくれた。
ま、負けた~…
と思うほど彼の手料理はおいしかった。