第1章 彼と私
かかしサイド
久々に休みがもらえた。
もー最近激務だったからうれしい。
ま、暗部にそうそう休みはないし、休みであっても駆り出されるのが常識に近い。
何事もなく明日の休みが満喫できるといいな。
俺は読みかけの本を片手に、ソファへ寝ころんだ。
しばらくして、自身にどすっと何かが落ちてきた。
「!?…」
その何かが体にあたるまで気配は何も感じなかった。
完全に無防備…
これが敵なら俺は完全にあの世いきだ。
驚きすぎて言葉もでなかったが、その何かは、意外にも柔らかく、よくよく確認してみると、女の人だった。
「…あの、ちょっとどういうことかな…」
「どーいうことって…どーいうことですか‥ね‥?」
敵か…いやこんな直接的に侵入してくるか?
里には結界がはられている。
誰かが入ればわかるはずだ。
だが、こいつは里に入っただけでなく、俺の家にまで気配なく入ってきている。
どーなってるんだ。
俺があまりにも殺気だっていたからか、彼女は涙目になっていた。
敵…ではなさそうか‥だとしてもこれは厄介なことになりそうだ。
とりあえず彼女を落ち着かせるためにコーヒーをいれた。
それからの彼女の話を聞いていると、どうやらここの人間ではなさそうなかんじだ。
彼女はアンナと名乗った。
アンナは茶髪のロングヘアで、目のパッチリしたかわいい子だった。
里の女の子たちとは、また何か違った雰囲気がある。
落ち着いたと思っていた矢先、また涙目になった彼女はこういった。
「あの、なんかよくわかんないし、でも頼る人もいなくて、ほんとに申し訳ないんですけど、…助けてください!」
やっぱりそうなるよね…でもこれは俺も火影様に報告しなければならない。
俺の明日の休みはもうないな…やれやれ…
若干がっかりしつつ、この子をほっておくわけにもいかないと、俺は覚悟を決めた。