第3章 現実と心の狭間
*R18 までとはいきませんが、甘い表現あります。好まない方は飛ばしてください
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かかしサイド
唇をかさねた途端、歯止めがきかなくなった。
呼吸ができないほど互いに上りつめると、少し名残惜しく離れる。
見つめるアンナの瞳に恐れはなかった。
彼女の瞳に映るのは、理性の崩れた俺と、そんな俺に高揚するまなざしだった。
この手が本当に彼女に触れてもいいのかと不安になったが、その気持ちを見透かしたように彼女が俺の手を、俺自身を強く求めた。
手加減できない。
今までとは違った感覚の胸の苦しさを感じる。
傷ついているわけでも、闇にとらわれているわけでもない。
あぁ、彼女に対する気持ちが大きすぎて苦しいんだ。
お互いに交わる体温と感覚に生きている実感を、俺だけを愛しく見つめるそのまなざしから独占欲を感じた。
それでも互いに満足できず、息の上がる部屋の中で何度も求めあった。
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アンナの意識が朦朧としているなか、俺の手を自分の頬にあて俺の名前を呼んだ。
「か‥かし‥」
彼女を抱え、にっこりわらうと彼女は幸せそうに笑ってそのまま眠りについた。
それを見届けて俺の意識もくずれていった