第2章 かかしの闇
私とかかしは、いわば立場的には正反対だ。
私は人の命を助ける仕事で、かかしは人の命を奪う仕事だ。
だからといって、かかしはむやみやたらに奪っているわけではない。
心は殺しなんか望んでない。
それをするのは、人々のため、里のためなのだ。
誰かのため…
そのために行うことは同じなのだ。
私は戦争を知らない世代。
でも、私のおじいちゃん、おばあちゃん世代たちはきっとこういう時代を生きたのだ。
かかしには、ここに突然来てからずっと頼りにさせてもらっている。
せめて、彼のために心の支えにはなってあげたい。
私はそう強く思った。
朝食を食べながら、私はふと疑問をぶつけた。
「かかし、その左目…見えてるの?
昨日初めてみたから、オッドアイなのも驚いたんだけどさ」
「あぁ‥話してなかったね。
これは、昔友から託されたものなんだ。写輪眼っていって、特殊な力をもつ眼でさ‥‥」
そういって、かかしはオビトの話をしてくれた。
写真たてにかざられている中の、一人の少年のことだった。そっか、その瞳にはそんなわけがあったんだ。
「そっか‥じゃオビトはいつもかかしと共にいるんだね。
じゃあその目に、いつかかかしの幸せも見せてあげないとね」
かかしは、黙って眉をさげて笑った。