第2章 近くて、遠い
ス、と自然な動作でジャミルに近づくと、は座ったままのジャミルの頬を手で挟み、くい、と上へ向かせる。
「……」
ふわりとの唇がジャミルに覆いかぶさり、柔らかく口付けた。
軽く啄むように、だが次第に深く唇を重ねる。
唇の隙間から差し込まれた舌を感じると、ジャミルの背にゾクリと電流が走った。
「……」
ジャミルはの細い腰に腕を回し抱き寄せると、激しく舌を絡みとる。
「……ん…ふぅ」
舌が器用に歯列をなぞり、上顎を刺激してやれば唇の端から唾液と共に声が漏れた。
「は…ぁ」
ジャミルはの切なげな瞳を目に映すと、腰を抱き上げる。
そのままベッドへ運ぶと、その手首をシーツへ縫い付けた。
「お前が誘ったんだ。今日は手加減しないぞ」
ジャミルの言葉には小さく頷く。
手加減なんていらない。
日常の多くの時間、ジャミルはカリムに付きっきりになる。
唯一、カリムが寝静まった夜だけが……ジャミルとの時間が許される時。
ふっと笑うと、ジャミルは照明を落とす。
夜は静かに更けて行く。