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【ツイステ】落としたビー玉【プラスb】

第1章 プロローグ


銀色の月明かりが、美しい少年の横顔を白々と照らしている。
熱砂の国には珍しい、白磁のように白い肌と細絹のような金の髪。
ただ、その瞳だけは燃えるように赤く煌めいていた。
昼と違い、砂漠の夜は冷える。
身を切るように冷たい風が少年の頬を撫でると、彼はゆっくりと舞い上がった自分の髪を撫でつけた。
「……こんなところで何をしている、」
「ジャミルか」
と呼ばれた少年は、ゆっくりと振り返るとジャミルを見た。
「外は寒いだろう。こんな所にいたら風邪をひく」
そういうと、ジャミルは持っていた肩掛けを当然のようににかけた。
は嬉しそうに微笑む。
「ボクを迎えに来てくれたの?」
「ああ、居なくなったから心配したんだぞ」
そう言いながら肩掛けを整えてやると、くすぐったそうに笑う。
「兄さんは?」
「カリムなら宴の真っ最中だ」
「……置いてきていいの?」
「今日は寮内だけの宴だし、少しくらいいいだろう」
そう言うと、ジャミルは寒さで赤く染まったの頬を親指で撫ぜる。
柔らかく絡み合う視線。
の長い睫毛が瞬くと、ふ、とジャミルが息を吐く。
張り詰めた緊張が解け、は名残惜しそうにジャミルの指先を目で追う。
「もう、行くぞ」
「……うん」
ジャミルに促され、は仕方なく頷く。
その代わりにと、はするりと自分の腕をジャミルの腕に絡めた。
「……」
「今だけだよ」
「仕方のないやつだな」
そう言いながらも、ジャミルは歩幅をに合わせてやる。
そんなジャミルの優しさに、は思わず涙腺が緩みそうになる。
こんなに好きなのに。
こんなに想っているのに。
あなたは他の人のものなの。

何故、あなたは兄さんの従者なのーー。
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