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【SPRIGGAN】Rookie hero【男性主人公】

第1章 プロローグ


-Rookie hero-
 
不況という、とても暖かいとは言い難い風が世間を厳しく凍り付かせている頃、学生達の間には俄に考古学ブームというものが起こっていた。
古代遺跡……ムー大陸、アトランティス大陸、マヤ文明、インカ文明、ギザのピラミッド、スフィンクス、モアイ像、ストーンサークル、ストーンヘンジ、ナスカの地上絵……。
数々の不思議なものは彼らを魅了し、甘い未知の領域へと連れ去ってくれる。
それはこの息苦しく感じる毎日から解き放されるための媒介であり、そして繰り返し起こる刺激のない日常から、非日常への開放を意味する。
彼らはそれらを望み、未知なるーーまだまだ私たちに空想の予知の在る、答えの出ないであろう刺激を求め続けていた。
実際の所、その「過程」こそが必要なのであり、答えなど必要はないのかもしれない。
しかし彼らは『学生』を終える頃には最終的には戻ってゆく、自分たちの「現実」という世界へ。
それはやはり彼らにとって考古学というものは、「趣味」の域を出ず、現実的な「飯のタネ」ではないからだ。
彼らにとって「考古学」というものは、夢やロマンと言った類いの綺麗なものでしかない。
しかしその裏には、僅かながらそれらを仕事とし、それらに命を賭している者たちがいることも真実なのである。
彼らにとって遺跡とは守るべきものであり、自分たちの存在意義であると言う者すらいる。
彼らの大部分は、「考古学者」と呼ばれる人々だ。
彼らは遺跡の調査、発掘に人生の大半をかけている。
彼らのうちのある者は、壮大なる宇宙のロマンを求め、夢想癖と嘲笑を受けた。
又ある者はそれらを一笑に臥し、冷たい現実主義者と罵られた。
彼らは、それでも今なお研究を続けている。
しかし、それらに人生の大半を賭け、生きているのは「考古学者」と呼ばれる者だけではない。
彼――御神苗優もその内の一人である。
彼らの仕事は遺跡の守備、警護、封印。
所謂、夢や希望を壊さないための……現代の正義のヒーローなのかも知れない。
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