第1章 最初の出逢い
「顔を上げよ」
その姿を見た瞬間、私は全てを思い出した。
陛下の横に立つ小さな影。
やや癖のある焦げ茶の髪は見た目の通り柔らかそうで。
深碧の瞳は怪訝そうにこちらを見つめていた。
その左目には泣きほくろ。
記憶の中の彼とよく似た面影の少年にまさか、と心中呟く。
「今日より息子の側近としてよろしく頼む」
「___ラジ・シェナザードだ」
「……サラ・ユーフェリアと申します」
名前を聞き、あぁなんてこと…と目眩がする。
平静を装えたことが不思議なほど私は内心混乱していた。
今私がいるここはタンバルン王国が王都・シェナザード。
信じられないことに、私は『赤髪の白雪姫』の世界に転生してしまったらしい。