第1章 「夢の中のアイツ」
ウオオォン。
≪11時です。民間人は家にカギをかけて、外出しないでください。本日は、リビングデットデイです。深夜12時以降の外出は非常に危険です。.....≫
「ホール」
中央墓地横広場
PM11時00分。
PM11時になり町中にアナウンスが鳴り響く。
広場にはたくさんの参加者が集まり、民間人は足早に家へと帰っていった。
中央墓地の隣にある頑丈な柵に囲まれた広場には多くのテントが設置されている。
受付会場や景品交換所だけではなく、リビングデットデイにちなんだたくさんのグッズ販売店、応急処置テントや夜食配膳テントなんかがある。
屋根にはたくさんの提灯や三角旗が張り巡らされていて、こんなイカれた夜すらお祭りにするのがホールの人間なのだ。
「よ、アルマ。ごくろうさん」
「バウクス先生!お疲れ様です。どうです?対策の方は」
「ばっちしだ!この毒ダンゴでゾンビの奴らもイチコロよ。はい、こっちはお前に。差し入れのおはぎだ」
「毒ダンゴじゃあないでしょうね。」
「店のシールが貼ってあるだろう。来る前に買ったやつだ。大丈夫だよ、間違っても従業員を殺すことはしねーよ。」
「ほんとだ、ここのおはぎおいしいんですよね~ありがとうございます!いただきます。」
バウクス先生は、私が事務員として働くホール中央病院魔法被害者病棟のお医者さんだ。
ちなみにこの病院でカイマンはアルバイトとして働いている。
「それにしても気が重いよな。こうもうちの患者が多くちゃよ。」
「ですねえ。減ってほしいものですよ、魔法被害者。」
私はプレートしか見ないが、面と向かって治療した相手を退治する先生は相当なもんだろう。
「ま、魔法被害者が減っちまったら俺たちの仕事がなくなるんだがな...っとそろそろ受け付しに行ってくるわ。事務仕事の方はよろしく。ここは無事だと思うが何が起こるかわからんのがホールだ。一応気を付けてな。」
「はい。ありがとうございます。先生もお気をつけて。」