第2章 親友クロサキ
「な~にしてんですか?早瀬さん」
急に大きな声がして振り返ると、親友の黒崎くんがそこに立っていた。
「この時間、授業とってましたよね?」
おはよ、
と声をかけて、
昼っすよ。と突っ込まれる。
「スペイン語ね。でもこんな天気のいい日に授業なんてもったいなくて。」
それで日向ぼっこのすえ寝てました。
・・・なんて、言えない。
「まぁ、確かに天気はいいですけど。単位落としたらまためんどうですよ。」
彼はそう言いながら隣に座ってシルバーのシガーケースをとりだした。
ヘビースモーカーのくせに、わざわざケースに入れ替えて使っているこだわりが彼らしい。
肩まで届くサラサラの金髪に、太陽の光が反射する。
雪菜は眩しくて眼を細めた。
そんな髪型でも違和感がないほど彼はいつもオシャレな格好をしていて、美容関係の学生のようだ。
大ぶりな黒ぶち眼鏡がさらにそんな雰囲気を漂わせている。
「単位よりも、大事なものを今吸収しているの。」
人生、どうでもいいことを考える時間は大切だ。
どちらかというと、自分自身に対してのいいわけを正当化して口に出してみる。
「光合成でもしてるんですか。」
フーっと彼から吐き出された煙は、太陽に照らされて空中を漂う。
「なつかしいね、それ。小学生か何かでやったよね。」
「光エネルギーを、化学エネルギーに変えるんですよ。」
笑いもせずに答える黒崎君に雪菜は笑ってしまった。
そして思いついたように口を開く。
「ねぇ。睡眠エネルギーを恋愛エネルギーに変えれないものかな?」
「全然意味分かんないです。」
「恋がしたいの。眠れない位、誰かのこと思ってそれ以外考えられなくなりたい。」
「要するに誰かを好きになりたいってことですか?」
「要しちゃうとその通りです。」
「つーか、眠れない位誰かのこと思うなんて一つもいいことないじゃないすか。相変わらず、バカですね。」
クククと意地悪そうに彼は笑う。
「そっちは相変わらず恋愛嫌いですね。」
私も少し嫌味っぽくいってやった。
「・・・・・そーですね。嫌い、ですね。」
・・・・。
うーん。