第4章 そこから見えているセカイ
「やっぱり・・男が嫌いなわけがないよね。」
さっきの乾いた笑いの数倍乾いた声にさぁっと頭から血の気が引いてく。
雪菜の頬を撫でながら彼はつづけた。
「金髪の男は彼?いや、雰囲気的にはセフレってやつなのかな。」
―――ッ・・・
息ができないくらいの衝動。
驚く私が楽しいのか、彼はにやつきながら脅すように言った・・・
「寂しくなったら俺がいつでも抱いてやるよ。」
気持ちが・・悪い。
逃げなきゃ…
この場からとにかく逃げないと…
早く…
なにか…
重たくなった頭を動かすと青白い光の中に10:30という文字が浮かんでいるのが見えた。
じゅうじ・・さんじゅっぷん・・・
頭の奥で声がした・・・
・・・いま・・・からなく・・い・・です・ら・・・
繰り返しまた聞こえてくる・・・
・・・いまは・・わからなくてもいいですから・・・
・・・・・・・。
カチッとなにか私の中で動き出す。
頬に触れている手を掴んで向こう側に押しやった。
「私、この後用事があるので帰ります。」
その声は想像していたよりもはっきりと、大きく、目の前のジャガイモへの攻撃となった。