第2章 親友クロサキ
「あ・・・あたし・・・
・・・・・・・・・・・・なんで笑ってるんだろう。」
俯いて、不格好に緩んだ口元から、へへ・・とまたよわよわしい笑みが漏れた。
「俺・・・そーゆーの見てンの、イライラするタチなんですよね。」
コトと、頭の上で音がして
顔をあげると、黒崎君が眼鏡をはずしてガラステーブルに置いたところだった。
横顔だけで、顔は見えない。
「・・・ごめん。」
「笑いながら、涙流して、謝って、なにしてんの?
そんなふうになってんのはさ、
早瀬さんが自分沈めていい子ぶってんのがエライって教育されてきたからだってのは分かってるけど、
それが“早瀬さん”なんだってのも分かってるけど。
それでも、
そーゆーの、俺の前だけでもブチ壊してやりたくなるんだよね。」
・・・ブチ?壊す?
茫然とする私の方に、ゆっくりと黒崎君が歩いてくる。
眼鏡をはずしたその顔は、まるで私の知らない黒崎君だった。