第11章 束縛
「人の事が好きっていうのに種類があるのかな?」
「ないですよ。」
チュッと音を立てて彼は首筋にまたキスをする。
「ないの?」
「人間の脳ってそういうところは馬鹿なんです。」
「・・・馬鹿って。」
「吊り橋効果って授業でやりましたよね。吊り橋を渡るっていう生理的に興奮している事と、恋愛で興奮してるっていうのを脳は簡単に間違える。
そんな脳が、好きの種類なんてもの作れる訳がないんです。」
なるほど・・・
黒崎君は淡々といつもの敬語で話す。
好きの種類・・なんてないのか。
言われてみれば、『大切』の次にくる後付けのような気もする。
きっと黒崎君とこんな風にキスもできてしまうからさらにそんな疑問が出て来てしまったのだろう。