第2章 親友クロサキ
「拗ねてるんですか?」
上を向いた彼の口から出た白い煙は、ぽわんと空中に溶けていくように消えていった。
私が拗ねたって、彼は動じない。
自分のしたいことだけをする、なににもしばられない人だ。
そうして生きている彼にとって他人の意思はほとんど意味をなさない。
彼が納得して取り入れてくれればそこで初めて意味をなして共有できるのだ。
だから・・
好きと嫌いがすごく分かりやすい人だ。
嫌なものは絶対に断るし、一切触れようとしないから分かる。
そして、私の事は嫌いじゃない。
こうして隣に座ってくれて、普段何にも興味なさそうな顔してる癖に、ずっと私の話を聞いてくれるから。
けれど、私の事を好きでもない。
出会ってしばらくしたときに言われたの。
「大丈夫だから、
桐生さんのこと、俺、恋愛対象として見てないから。
この先もずっと、
ずっとそういう目で見ることはないから。」
って。