第9章 月に願いを・・・
「こんな時間になにしてんの?」
「え・・?あー・・・神代君こそ。」
街で友人を見かけた時の普通の会話。
なのにどうしてだろう・・・もう、私の中で「普通」じゃなくなってる。
・・・・気まずい。
意識するな。
意識するな。
意識するな。
自分に言い聞かせる。
「俺は、バイト帰りだよ。」
にこっと笑う神代くんの目。
いつもと同じはず。
・・・なのに、何か圧迫感を感じてどもる。
「あ、塾で・・勉強教えてるって言ってたね。」
・・・落ち着け、私。
ちゃんと笑顔で話せているか自信ない。
「で、こんな時間になにしてたの?」
「あー・・・うん」
あ、また。
二回目・・・。
気になったことは答えるまで何度も聞く神代君の性格。
「ちょっと黒崎君のバイト先に飲みに来てて・・」
「黒崎のバイト?」
あ・・・余計な事、言ったかも。
案の定、神代君は怪訝な顔をしてる。