【カードファイト!ヴァンガード!】 ~クレイの神子~
第2章 転校初日
急いで追い掛けるが、歩幅が違い過ぎてどんどん引き離される。
ハルカ「ま、待って…っ…!!」
息を切らしながら、どうして私の足はもう少し長くないのかと思いながら必死に追いかけるが、前の二人はとある教室に入って行った。
ハルカ「…『カードファイト部』?」
扉を少し開けて中を覗き込んで見る。すると…。
櫂「ヴァンガードでアタック!」
三和「ガード!!」
櫂と三和の二人がカードファイトを始めていた。迫力のあるファイトを見て、私は圧倒されていた。
ハルカ「……すごい」
ズキンッ__。
ハルカ「あ…れ…?」
突然、脳裏に昔の記憶が蘇ってきた。あれは、『共鳴ノ儀』のすぐの頃、儀式を失敗してしまった挙句に力も失ってしまった悔しさから、毎日の様に近くの公園の湖の陰で泣いていた。
小さいハルカ『ひっく…ぐすっ…』
?『どうしたんだ?』
小さいハルカ『! だれ?!』
驚いた。公園といっても湖の陰は人が来ることは殆ど無いので私の秘密の場所になっていたから。慌てて涙を拭い振り返る。そこには同い年くらいの男の子が立っていた。
?『どうして泣いてるんだ?』
小さいハルカ『……っ』
?『……ほら?』
小さいハルカ『…?』
男の子がハンカチを差し出してくれた。ハンカチを受け取り滲む涙を拭う。初めこそは会話が無かったものの、それから数日間、ほぼ毎日の様に男の子はその場所に来てそばに居てくれた。だんだん会話もする様になり、少しずつ打ち解けていった…。
ある日、ハンカチを借りたままだった事を思い出し、返そうといつもの場所に向かったが、その日以来その男の子が来ることは無かった…。
ハルカ「あの子……」
ナイト「ハルカ!こんな所に居たのか…」
ハルカ「あ、ナイト…」
ナイト「探したんだぞ?さ、帰ろ…!?」
ナイトが目の前の教室何の部屋が分かった途端、言葉に詰まった。
ハルカ「…ナイト?」
ナイト「あ、ああ…」
さっきと様子が変わった。恐らく『カードファイト部』の文字に反応したのだろう。『共鳴ノ儀』の事を気に掛けたに違いない。