第10章 【第7章】気が付けば夏休み
校舎から外に出るチユとフレアルーパー。
夏真っ盛りの時期なので外は炎天下である。
しかし温度を感じない身体のチユは涼しげな顔でスタスタと歩いていく。
『ただ散歩するだけなのも暇だね。ルー、行きたい所とかある?』
運動不足のためか、動き足りないチユはフレアルーパーに問いかける。
フレアルーパーは少し悩んだ後、水辺で遊びたいと言った。
『水辺…プールは開いてないし…そうだ!確か、キャンプエリアに大きい湖があったはずだよ』
キャンプエリアとは、正式名称を【わいわいキャンプエリア】と言い、学園の北側に位置するエリアである。
森や湖が近いため、気軽に自然を感じられる場として知られている。
そこなら水辺で遊ぶだけでなく、広いので伸び伸びと走り回ることだってできそうだ。
『湖で魚を取って食べてもいいし、追いかけっこするのもいいね』
「はやく、はやくー!」
『もう、ルーったら…』
早く遊びたいのか、魚を食べたいのか。フレアルーパーは凄いスピードで空を駆けていく。まさに電光石火である。
『(そういえばルー、ずっと傍にいてくれてた…)』
風紀タワーでの出来事の後からだろうか。フレアルーパーは何かと理由をつけてチユの傍から離れようとしなくなったのだ。
もしかしたら来星ナユに危害を加えられそうになったことに責任を感じているのかもしれない。
気にしなくていいのにな、とチユは小さく呟きながらフレアルーパーを追いかけた。