第1章 1本目は処女喪失とともに/胎
結婚するまで性交渉はしない。
今まで彼氏がいたことはあっても、身体を許すことなく別れては付き合いを繰り返してはや19年。
高校を卒業し、大学生になった私の名前は小桃。
19歳で処女というのは、そんなに恥ずかしいものなのかな?
自慰で指すら入れたことのない私は、自分の秘部を開くことにためらいがあった。
だって、痛いんでしょ……?
友人の話を聞く限りの想像だったけど、
痛いらしいし、やめてって言っても男は絶頂させようとしてくるって言うし、尿意がすごいんだって。
お漏らしなんてしたら、私たぶんエッチにトラウマ持っちゃうよ……。
とにかく、身体を誰にも許さないまま19年が経って、想像が先走った私が今いるのは……
異世界。
見渡す限りの森の中。
森林というより、草木の湿った匂いがするから湿地帯、湿林という雰囲気がする。
地面は濡れていないけど、土の香りがする。林間学校を彷彿とさせた。
じゃあ普通の、現実の森との相違はというと、空だった。
見上げる空に月が2つ浮いている。
月のような、と言ったほうが正しいけど、色も形も窪みも見慣れた月と瓜二つで。
この異世界には、月が2つあるんだ。
つまり、現実世界ではない。
手ぶらのまま歩き進むと、小さな湖のほとりに出た。