転生したけど、モブキャラだから彼の観察日記をつけています!
第3章 幸せの時
「ここ、きて」
「?」
「そんで、ここ座って!」
「うん?」
言われた通り、ポンポンと指示された優の隣に腰掛けると、アユムは優の顔を見上げようとした。
ーー瞬間。
「よっと」
ポスン。
「…?!」
優は隣に腰掛けたアユムの膝に、無邪気に頭を乗せた。
膝枕。
一般的にそう呼ばれる状態。
思わず、アユムの身体が固まる。
「ちょっとだけ、寝かせて」
「御神苗く…」
何が起こったのか分からず、思わずオロオロとするアユムの膝に頭を乗せたまま、優は構わず眼を閉じた。
「ちょっとだけで…いいからさー…」
そう言うや否や、ウトウトと眠りに落ちていく。
「……疲れてたのね」
「スー…スー…」
完全に信用しきったような、幸せそうな優の寝顔。
今、この寝顔を見ているのは自分だけ。
そう思うとアユムはほんの少し優の特別になれたような、そんな気がした。
…例えそれが勘違いだとしても、今くらいそう思ってもバチは当たるまい。
アユムは最初の驚きも忘れ、優しげに髪を撫でた。
「おやすみなさい、御神苗くん」
せめて、夢の中だけは戦いのない、幸せな世界でありますように。
会議が終わり戻った山本に、大袈裟に揶揄われるまで後1時間と少し。