Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第7章 選択
エルヴィンは静かにダミーの資料を投げた。
「本物なら今頃ザックレー総統の手にあるだろう。ロヴォフは終わりだ」
此奴、全部知っていながら!
くそ、俺が間違った選択をしたから……
「よせ、後悔するな。後悔の記憶は次の決断を鈍らせる。そして決断を他人に委ねようとするだろう。そうなれば後は死ぬだけだ!結果など誰にも分からない!」
__此奴は、俺に見えていない何かが見えているんだ__
「壁外調査を続ける。お前も来るんだ。」
そう言ってエルヴィンは去っていった。
‘お前’は俺に言われたのか、ステラに言われたのか。
きっと両方だろう。
「……悪い、手が…!」
言い終わる前にステラが抱きついてきた。俺も強く抱き返した。
言葉は交わさなかった。ステラは泣くのを堪えていた。
ステラと俺は、ファーランとイザベルをもう一度見てから2人で戻って行った。
「何も出来なかった」
ステラが絶望に満ち溢れた掠れた声で言った。
「貴方達を守りたかった。失いたくなかった」
俺は何も言い返さなかった。ステラのせいであることは全くないが、彼女が前を向きながら独り言のように言っていた言葉だったから、聞いて欲しくて言ったのではないことが分かったからだった。
壁外調査は終わり、壁内の兵舎へと帰ってきた時は既に日は沈んでいた。
ステラは目に涙を溜めたま、まだ呆然としていた。エルヴィンや団長に集まるよう言われた時も、心ここに在らずのままだった。
俺はその時ステラを引き止めて、二度と手放さないようにしたいと思ったが、仲間を一気に失った直後、ステラは俺のことなんか見たくないだろうと思い留まった。