Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第5章 忠誠
ステラは、一番初めに話しかけてきた男と馬車に揺られていた。
窓の外から目を離さない。
地上であるのに、太陽の光は厚く黒い雲が遮っている。
「そんなに思い詰めた顔をしているのに、何故着いてきた?」
「…さぁ」
条件を出したのは其方だろう、と思いながらも窓から目を離さずにそう答える。
ステラの前の人物は気にもせずに話を続ける。
「君は巨人についてどのくらい知っている?」
一瞬だけ男を見てから、窓に視線を戻す。相変わらず冷たい風が吹き続けている。地下街の風は、もっと暖かかったとステラは思う。
「……知っていたら、今頃私は壁外にいる」
男は驚いた。知識があれば巨人と戦うと宣言した事に、僅かに期待し微かな笑みが浮かんだ。
「君は若いのにまるで私自身と話しているようだな。掴めそうで掴めない」
「それは褒め言葉…?」
「…さぁ」
ぱっとステラは男の方を見る。
同じ答え方をされた事に頬を膨らませていると、男は思わずといったように再び笑う。
「すまない、からかった」
確かに、とステラの心が言う。
全く掴めない。この先自分をどうするのかも見当がつかない。