Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第28章 誘拐
エルヴィンは表に出さないがステラに気を置いていた……いや、今もそうだ。そのこいつが、そう易々と諦めるはずも無い。
「金や貴族からの信頼など無くなってもまた取り戻せるが……ステラは取り戻せない。
調査兵団としてではなく俺個人として彼女を連れ戻すことを命じる。いいか……何としてでも連れ戻せ」
小切手を引き裂きながらぎり、と歯を噛み締めエルヴィンは命じた。
ステラがいない世界で息など出来ない。
何としてでも取り戻す。
軽く作戦を立てる中、ヴァニーユから以前街で会ったこと、きつく口止めされていた事を知らされた。
こいつの殺気も俺に劣らず、ノワールとヘーゼルが腕を掴んでいなければ今にも飛び出していきそうだ。
「団長!」
ふと1人の兵士が声を発した。振り向くと、アルミンを筆頭に104期生達が立っていた。
「どうか僕達にも行かせて下さい。……今までさんざん助けてもらったのに今行かないなんて、僕達には出来ません」
先程この場にはいなかったが、ステラが連れていかれた様子は見ていたのだろう。全員顔が強ばっている。
「隠れなくてはいけない身なのも分かります。……特に俺とヒストリアは。ですが頼みます……今だけですから」
エレンが懇願した。エルヴィンはじっ、と104期達を見つめていたが、暫くして頷いた。