Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第20章 ✵誤解
兵舎についてから、何とかして呼吸を正した。
気にするな。モレクはもうここにはいない。調査兵団全体に歯向かうほど馬鹿じゃないし、暇じゃないだろう___と思いたい。
甘い考えだとは思うが、たかが1貴族が調査兵団に乗り込んでまで来るだろうか?
このことをエルヴィンや_____殊更、リヴァイには話すつもりは無い。壁外調査が迫る中、余計な心配をかけることは兵士として有り得ない。
今はもう、壁外調査に意識を回し、モレクのことは忘れるべきだ。
もし来た時は来た時だ。私のところで収める。私が何とかする。絶対に、この兵団に、___リヴァイに、迷惑はかけない。
ヴァ二は私が大丈夫と言っているのを疑わし気に見ていたし、私が攫われた時の二の舞にならないように守り抜くと言っている。が、彼にも負担をかける訳には行かない。
ヴァ二本人は無意識だろうが、彼は壁外調査でも、文字通り、自分の命を賭してでも私を守ろうとする。
彼に、これ以上負担や苦悩をかけさせたくない。私だって、1番の部下であるヴァ二には傷ついて欲しくない。
ふぅ、とため息をついて顔色を正し、エレン達を笑顔で見送った。ヴァ二がまた背負って、と小声で言っていたから、きちんと笑えてはいたのだろう。
「ステラさん」
「……うん?」
「貴女の命令は守ります。でも、俺は貴女から目を離しませんよ。それと……」
ヴァ二は笑って言った。
「今日のこと言わなくてもいいですから…リヴァイ兵長と会って下さいね。紅茶、渡すんでしょう?」
全く、この子には敵わない。
モレクの事で心が落ち着かず、恐怖があったが、リヴァイに紅茶を渡すことを口実に会える、と思うと、抱いていた嫉妬心も少し薄れ、早くあの腕に抱きしめて貰って落ち着きたい、と思った。