Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第17章 嫉妬
「…街に?……そうね、いいかもしれない…」
いいかもしれない、と頷くステラさんは、少年がそわそわとしているのを見ると言った。
「…エレン、君もどう?」
「えっいいんですか!」
ぱあっと顔を輝かせたエレンを見ると少し罪悪感があったが、俺はどこか腑に落ちなかった。
「……そう拗ねないの、ヴァ二…」
ふわっと笑いながら言うステラさんを見ると、どれだけ自分が子供じみた考えを持っているか思い知ることになるが、少しあからさまにむっとしてみた。
ふふ、と笑いながらステラは俺の頭を撫でた。
「でも、俺……自由に行動できません。自分の権限を持っているのは自分では無いので」
「…そう……誰が持ってるの?」
「リヴァイ兵長です」
瞬間、ぴんと空気がはった気がした。そっとステラさんを見ると、やはり少し表情が固くなった気がした。
「……なら、私からエルヴィンに言ってみよう。エレン、君も少し休んだ方がいい。時間を見つけて街に行こう?」
エレンは嬉しそうな顔をしたが、直ぐにその顔が曇った。
ステラさんはエレンの頭を撫でて言った。
「エレン、君は巨人になれる力を持っている。……でもね、君は‘その力を持った人間’だ。誰よりも強い目的を持ち、その目的を果たすために自らを犠牲にしてまで行動する……勇敢そのものだ。……君は立派な人間だよ」
「……はい。ありがとうございます」
エレンは下を向いて、泣くのをこらえているようだった。
ステラさんは昔から、その時1番言って欲しい言葉をかけてくれた。それも魅力の一つだろうが…だから皆自然とこの人に惹き付けられてしまうのだろう。
だからこそ……ステラさんの辛い時に言葉をかけてやれない自分に腹が立った。
もう日は沈みかけていたから今日は街に行けないが、ステラさんが団長に許可をとっていつか行こう、と約束して俺とステラさんは兵舎に戻っていった。