Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第12章 845
845年。
私達は次の壁外調査への準備をしていた。
「…私の作戦はまた通らなかった……」
「でもエルヴィン、長距離索敵陣形は却下されたわけじゃない。採用はされてる……」
「ああ、だがあれでは不完全だ」
「ええ……きっと怖いのよ」
「怖い?」
「全てを捨ててもやり遂げる覚悟を持つこと…なにか新しいことに挑戦する時は、犠牲を覚悟しなくてはならない。………それに怯えているうちは先へは進めない」
「………ステラ、君がいてくれて良かった」
「……?」
「少なくとも、俺の考えに同調してくれているというだけでも自分が間違っていないと思える」
エルヴィンの思索したものは、何の犠牲もなしに成功する、とは言えないものだった。だがその分、今までより更に‘長距離’まで行けることは確かだった。
窓辺で沈みゆく夕日を2人で眺めていると、エルヴィンの部屋のドアが勢いよく開いた。
「……リヴァイ、君にはノックを教えなくてはならないようだ」
ドアに背を向けて窓の方を見たまま、エルヴィンは静かに言った。
「俺のステラを口説いてやがるような気がしてな、エルヴィン。ノックなんざしてる暇なかった」
「リヴァイ、口説かれてなんかない…相談よ、相談」
「どうだかな。ステラはそう思ってもそいつは違うかもしれねえ」
そう言うとリヴァイは私の手を取ってソファーに座らせ、自らも隣に座った。
「リヴァイ、そのままステラを連れて部屋に篭もると思っていたが」
「俺もお前のその‘相談’とやらに付き合ってやる。………次使えるかもしれねえだろ」