第1章 序
勇姫には忘れられない過去がある。
どんなに忘れたいと願っても、心の中に黒い影となって居座り続ける。
辛い辛い思い出。
大好きな父と母と二人の妹を鬼に殺されたあの日。
当たり前の日常が、理不尽に、一気に、全て奪われた。
もうだいぶ前のことなのに、今でも思い出すだけで指先まで震えが走り、全身が硬直してしまう。
私の家族は、一夜にして消えた。
―――あの夏の夜。
丘へ星を見に行かなければ、家族と共に私も死ねていたのだろうか。
その方が、どれだけ幸せだっただろう。
でも生き残ってしまったのだから、どんなに辛くても生きていかなければ。
この生のある限り。
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初の夢小説です。
まずは序章、思い出です。暗いのはここだけ、のはず!
短く纏める予定ですので、序章はオリジナル要素の乱立となりますが、よければお付き合いください。