第2章 T.01
「……誰だお前」
何か声がした気がするけれど、見つかったという事実を信じたくなかったので、私は振り向かなかったッ!
「オイ何黙ってんだよ、バレてんだ諦めろ」
なんだこいつ、ぐっさりと図星を突きやがる。
しかも威圧感がすごい。気配を感じてるのは背中だけだけど、敵意がじりじりと伝わる。
「……テメェいい加減にしろよ」
アッなにこの人怖い。だらっだらと全身から汗が出る。怒っていらっしゃる。怖くて振り向けないわ!
ざっとその人が一歩私に近づいた足音が聞こえた。
ひいぃ!!やばいやばいやばい!
このままだと殺られるんじゃないかと思うくらいの圧力だったので、私は意を決して振り向くことにした。
ギギギ、と性能の悪いロボットのように不自然な動きで後ろを振り向く。
そこに見えたのは、
仁王立ちをしている、
見覚えのある眉毛だった。
違う。
見覚えのある顔だった。