第5章 T.04
「こっ、コンニチハ」
目がバッチリと合っているわ、子猫ちゃんの意味が分からんわ、いきなり新しい人物の登場だわで戸惑う私は、カタコトの返事をした。
「は?由真が探し物……?」
同じくぽかんとしていたイギリスが呟いた。
「お前ら知り合い?」
振り返りこちらを向くイギリスの問いかけに、私は首を横に振る。
知り合いになった覚えなどない。ただ一方的に私が知っているだけだ。
「おい髭どういうことだ説明しろ」
「おーおー、大英帝国様は怖いねえ!ちゃんと説明するからさ。……玄関は寒いナー?」
「……っち、勝手にあがれ。散らかすなよ!」
はいはーい、と軽い返事をしたフランスがイギリスの後に続いてうちに入ってくる。
どうしたらいいのか分からず、とりあえず自分も2人について行く。
わわわぁ…!本物の兄ちゃんだ…!
無駄な感動は胸に押さえつけ、私はできるだけ冷静を装っていた。
「で?どういうことなんだよ」
リビング的な部屋で改めてイギリスは聞いた。
しかしフランスはそれをオールスルーした!
問いかけたイギリスに振り向きもせず、こちらをを向いた。
「Bonjour!俺はフランス。フランス兄ちゃんって呼んでね!趣味は芸術とストライキ、特技はパリを離れること!ま、よろしく頼むよ、子猫ちゃん」
「えっ、えええと、よろしくお願いします、フランス…さん」
すらすらとフランスの口から流れ出る自己紹介に圧倒されながらも、一応こちらも挨拶をする。
さ、さすがに初対面で兄ちゃん呼びはないよな、うん。