第5章 T.04
朝ご飯の食器をかたづけ、部屋を出る。
イギリスはどこに行ったんだろう。
この広い部屋じゃ、片っ端から探すのは億劫だ。
うーん、と唸ったとき、玄関でベルが鳴った。
現代のと違って「ピンポーン♪」という音じゃなくて、最初の方はいちいち驚いていたが、最近は慣れてきた。
ドアの開いた音がする。
イギリスが出たんだな。国関連の人かもしれないし、あんまり騒がしくしちゃダメだよね…。
「……っはあ!?………んだよ!」
……騒がしいのはイギリスでした。
私の気遣い返せよ!全く!
…しっかし、イギリスがこんなに怒鳴るなんて何事だろう?
今まで家に尋ねてきた人は何人かいたが、どの人にもイギリスは紳士的だった。一応、英国紳士だからね。
気になった挙句、私は抜き足差し足玄関にむかい壁からそっと顔を出し玄関の状況を覗く。
「何しに来たんだよクソ髭っ」
「いやぁ、ちょっと探し物をね!」
揉め事…というより、単なる口喧嘩…?
怒鳴るイギリスの後ろ姿から少し見えるのは、金色の少しウェーブした髪……派手な色の服………
「俺んちにお前の探し物なんてねえ!さっさと帰りやがれ!」
「そう言われるとお兄さん、帰りたくなくなっちゃうなぁ〜…」
金髪……派手な色……
「それに、もう見つけたしね」
クソ髭……お兄さん……
「や、Bonjour!初めまして、子猫ちゃん♪」
彼はイギリスの後ろ姿から身体をひょっこりとずらし、私を見て言った。
ああ、なんで声で気づかなかったんだろう!!
こいつ、フランスだ!!