第5章 T.04
「ててて撤回って……えっ、そんな…」
「おい、その顔は絶対勘違いしてるな。出てけって意味じゃねぇよ!神様にも頼まれちまったしな」
完全に勘違いしていた。
あぁ…よかった…。撤回とか言われた時点ですごく怖かったんだよ…。
ほっと胸を撫で下ろす。
「奴の進級課題とやらが終わるまでお前はここにいろ。いいな?」
「えっ、でも」
「でもじゃねえ、変なとこで遠慮すんなっ!それにこれは決定事項だからな!」
私がどう返事をしたらいいのか迷っているうちに、イギリスはさっさとスープとパンとサラダを掻き込み、違う部屋へ行ってしまった。
分かりやすい照れ隠しだ…。
しかし、お礼を言い忘れた。
イギリスの迷惑になるから一緒には居れない、というのは建前で、イギリスがああ言ってくれたのは本当にありがたい。
知り合いなんて誰もいないから、住むところもお金もない。
イギリスのおかげて私は生きているようなものかもしれない。
あの頃はこんなこと考えたこともなかった。何もかも自由で、自由過ぎた。
……とりあえず、私の私情はともかくイギリスにお礼を言わないと。
照れ隠しをしているということは、彼が人のために動いたということ。
それだけで嬉しい。
頬が自然と緩む。
ああ、私、今幸せだ。