第4章 T.03
「よっこいしょっ」
椅子の上に立ち上がり、窓の高いところを拭く。
あれからお昼ご飯を食べ、イギリスを見送った後、さっそく私は掃除を始めた。
いやー、どうして新聞紙なんかでガラスは綺麗になるのかね。すっごく不思議だけど綺麗になるんだよねぇ、コレ!小学生のときの大掃除の経験がこんな風に役立つなんて、現代にいた私が思ったことなんてあるだろうか!
廊下の窓を2、3枚拭くと、何気なく外を見渡した。
初めて来たときも思ったけど綺麗だなぁ… 。やっぱガーデニングが趣味っていうだけあるよね。いやガーデニングに詳しいわけじゃないけど!
よし。窓拭きが終わったら庭園を見てみよう。
そう決めた私は、よしっと掛け声を出して、現代ではない生地の洋服の袖を捲った。
「うぉっふぉー!やっぱ綺麗だなーっ!」
一通り掃除が終わり、私は庭に飛び出してきた。
近くで見てもやっぱり綺麗だ。こんな広い庭をどうやって1人で管理してるんだろう。
棘に気をつけて、薔薇にそっと触れる。
そうか、イギリスは1人だったんだ。
栄光ある独立とかいうけどさ…。
アメリカといた時だってあった。日本と友達にになった時だってあった。
だけど、どれだって長くは続かなかった。
素直になれなくて、すれ違って、摩擦が起きる。
国として、人間として悩んで苦しんだ末の結果。
未だ報われることはない。
他人のことは触れない、干渉しない、入り込まない。その考えは深く私に染み付いていた。
それはこの世界でも適応されるのか。