第4章 T.03
あれから数日。
この時代の生活にも慣れ始めた。
足だってほぼ治った。
イギリスの不味い料理とそれほどでもない料理の見分け方も分かってきた。(さすがに毎食パンは色々とキツいものがある)
あの変な夢は、あれ以来見ていない。
そんなことに何の違和感も感じていなかった。
「イッギリスー、洗濯物干し終わったよー」
「おう、さんきゅ」
ソファーで本を読んでいたイギリスに一言声をかける。そして自分もイギリスの近くのソファーに座る。
「今日は会議ないの?」
「会議はないけど、上司に呼ばれてるから午後出かけてくる」
イギリスはたまに会議に行く。さすがに遊んで暮らしている訳ではないみたいだった。さすが国、と言ったところだ。
イギリスが家をあけているときは、掃除をしたり、ゴロゴロしていたり、近所に散歩に行って見たり、割りかし私も自由な行動をしている。
「ほーう、お疲れさんー。あ、夕ご飯には帰ってくる?」
「そうだな……分かった、帰ってくるよ」
本から顔を上げて、わざわざこちらを見て言った。
「なんだその、お前のために帰って来てやるぜ、みたいな目線は」
「違うのか?」
「ちがうわ眉毛」
ばかぁ!とか言っているイギリスはさて置き、今日は何をしようかと考える。
窓拭きでもしようかな。廊下の窓が汚れていたのを見た気がする。
バケツは物置にあって、雑巾はその隣の棚に。昨日の新聞紙も使わせてもらおう。
……なんて。
ここまで馴染んでいる自分に少しからず怖いなーなんて感じていた。
しかもこの時代、インターネットとかないから暇があったら掃除やるか、とか聖人みたいな思考になっちゃうし。
この家で迷子にもならなくなったし。
慣れたなあ…。
慣れるほど……私はこの世界にいるんだ。