第4章 T.03
「よし…こんなもんだろ。帰るか由真……」
「ひょおおおおおおかかかかわええええええふおっおおおっすごっ、すげええええええ!!!!」
「誰かこいつを止めろ」
すごい。
もう一度言おう。
す ご い ! ! !
なんつーかもう、テレビとか教科書とかにでてきた風景が目の前にあるのだ。もともと(ヘタリアのせいもあって)歴史が好きだったってのもあるのかもしれないけれど、とにかく奇声を発するほど興奮してうへへへへ、むしろ誰か私を止めて。
「だだだだって!!馬車!!ねえイギリス馬車!!!」
「あーっうっせえ!なんでそんなに目立とうとするんだよお前は!!」
「そこのお姉さん可愛い!!めっちゃお洋服ふわふわしとる!!」
「お前えええええ!!」
「っはー、楽しかった!」
「そりゃどうも……俺は死ぬほど疲れたわ」
買い物を済ませ、家に帰ってきて一息つく。
素直に笑顔で感想を言ったら、心底迷惑そうな目でこちらを睨まれた。
さすが元ヤン!怖いね!怯む気はないけど!
こんな楽しい思いができたのもイギリスのお陰かな…。よし、一言くらい言っておこう。気持ちは言葉にしないとね!
「イギリスー」
「あ?」
「ありがと!」
「……おう」