第2章 T.01
「これでよし」
「っで!!なんで最後ぎゅってやるんですか、ぎゅって!」
ちゃんと留める為だ仕方ないだろ、とこちらを睨むイギリスをやり返すように横目で睨んだ。痛いもんは痛いんだちくしょうめ。
結局、あれからイギリスの家にお邪魔させてもらい(それがまた、イギリスの家は広くてすごい。なんか超イギリス〜って感じだ)今、手当てをし終わったところだった。
「で?お前は何を探りに来たんだよ」
私の手当てに使った包帯を、元の救急箱にしまいながらこちらを見ずに言った。
なんだ、まだこいつそんなこと思ってたのか。
「だから違うって言ってるじゃないですか」
「そんなわけ、あるわけない。何だって今は戦争中だぞ?イギリスに来た日本人がそんな快く受け入れられるとでも思ってんのか?」
目を伏せながら、まるで常識でもあるかのようにイギリスはそう語った。
そうか戦争……。イギリスと日本は敵同士なんだ。知ってはいたけれど、まだ上の空でしか理解してないない。
授業とか、テレビとか、本とか、とにかくたくさんのもので私が元いた『現代』では戦争を伝えてきた。もちろん私には戦争の経験はないし、平和なこの時代に生まれてこれてよかったと心底思う。
だからこそ、戦時中の人の気持ちを全て分かっているわけではないが、私だって人間だ。そういう話を聞いて気持が良くなるわけはない。
とにかく、胸がずきずきした。